日本製鉄や神戸製鋼所といった会社の名前を知っている人は多いでしょう。
どちらも日本を代表する鉄鋼業の会社です。
ですが会社としての規模が大きいことや有名であること=高配当株投資に適している銘柄。
この式が必ずしも成り立つわけではないということは面白いことです。
さて、この記事で紹介する私が投資している鉄鋼業の銘柄は5444_大和工業。
ヤマトスチール株式会社や大和軌道製造株式会社などを傘下に置く日本の持株会社でありそのグループの中核企業。
なぜこの銘柄に投資しているのか、どういった数値を見ているのかを纏めています。
この記事を読んでいただいた方の投資に対する考えの参考にしていただければ幸いです。
目次
鉄鋼業界の特徴
会社の紹介の前に銘柄が属する鉄鋼業界の特徴を紹介。
TOPIX-17シリーズに照らし合わせると鉄鋼・非鉄金属のセクターに分類され、景気好況期において有利となります。
非鉄金属業界の高配当株は以下の記事です
【住友金属鉱山】非鉄金属業界におけるおススメ高配当株【住友電気工業】 (itoken1524.com)
景気好況期とは消費が活発になり経済活動か好調になる局面のこと。
こうなる理由として、鉄は多くの製品に使われているということが大きいと考えています。
例えば景気が良くなり車など鉄を使用する商品の需要が高まれば鉄鋼を用いた製品の需要が高くなるでしょう。
それにより鉄鋼業の利益は増大。
ですので景気好況期に有利なセクターと言えるわけです。
さらに、鉄鋼業は景気敏感セクターにも含まれます。
景気・金利の動向によって業績や株価が大きく変動するセクターです。
こうなる理由としては前述の通り景気が上向きになるほど、鉄を多く使う自動車産業や建設関連の事業が活発になる、ひいてはそれに使われる鉄鋼の需要が大きくなるため。
こういった理由から景気に左右されやすいセクターであると考えられます。
他にも鉄鉱は円安メリットセクター。
日本の鉄鋼産業は国内で生産した鋼材の多くを輸出することがメイン。
顧客も海外の相手が多く自動車・造船・機械などの輸出産業が中心のため、円安局面では恩恵を受けやすくなります。
しかし、資源の少ない日本は原材料(鉄鉱石,石炭な)を輸入に頼っている割合が多いです。
コストが大きくなるため、急激かつ極端な円安だと利益ができにくい状態になってしまいます。
今後の鉄鋼業についてですが発展していく可能性が高いと考えられるでしょう。
理由としてはインドも含めたアジア地域やアフリカは確実な成長が今後見込まれているのは周知の事実。
これから経済成長が期待できる国では、インフラ設備の建設需要も旺盛でありそのため世界で見ると、鉄鋼の需要は今後も伸びていくことでしょう。
世界規模で見ると成長していく産業ですが日本はそれに反して低迷していくことがほぼ確実視されています。
粗鋼生産量国内首位である日本製鉄でさえ「国内生産規模を維持することが困難である」と言うほど。
これには少子高齢化による人口減少や主力製鉄所の老朽化海外との成長が激化していくということが理由としてあります。
ここまでざっとですが鉄鋼セクターの現状と特徴、そして今後の未来についてまとめました。
分析する項目・用語解説
続いて私が判断している企業の項目について説明します。
以下の8つ
- 売上高
- EPS
- 営業利益率
- 自己資本比率
- 営業活動によるCF
- 現金等
- 1株あたりの配当金
- 配当性向
その中でも特に営業利益率、自己資本比率、配当性向は最重要視しています。
では、それぞれの用語を解説していきます。
まずは営業利益率について。
営業利益率とは?
まずは営業利益率について
営業利益率とは「売上のうち、営業利益が占める割合」のこと。
営業利益率が高ければ高いほど、儲かるビジネスをやっていると言えるでしょう。
私が求めている成績は5%を超えること。
この根拠は経済産業省が出している企業活動基本調査で普通と優良の境目が5%であるということに起因しています。
自己資本比率とは?
次に自己資本比率について。
「企業が簡単に倒産しないか?」という安全性を判断する値ですが自己資本比率が高いほど、潰れにくい会社だと言えます。
自己資本比率についてもっと突っ込んだことを話すと、例えば、手元に現金100万円があると仮定しましょう。
自己資本比率とは、その100万円が「自分で用意したものか」それとも「借りてきたものか」という指標です。
100万円が全額自分で用意したものであれば自己資本比率100%、60%は自社で用意したけれど40%はどこからか借りてきたお金だという場合は自己資本比率が60%となります。
私はこの値だと最低限40%を求めており、60~80%あれば望ましいと考えています。
ちなみに中小企業庁が発行している「2019年版の中小企業白書」によると、自己資本比率40%以上の中小企業が10年以内に潰れる確率は3.5%。
これが私の設定した基準の根拠です。
配当性向とは?
最後に配当性向について。
配当性向とは「今年の利益のうち、何%を株主にキャッシュバックするか?」というもの。
これを見ることにより企業の配当金が無理している値かどうかがわかることでしょう。
配当性向70~80%にまで上り詰めると「そろそろ、今の水準で配当金を出し続けるのは難しいのではないか?」と考え始める数値になります。
イメージとしては「毎月の予算で何%を使い他人への贈り物を買って渡しているのか?」です。
配当性向が70~80%とまでなっているということは、裏を返せば自分のためのお小遣いは20~30%しか残らない状態。
つまり、自社へ自己投資の予算が少なくなってしまうといえるでしょう。
新しい設備を導入したり、新規事業に挑戦するといったことが難しくなってしまうはずです。
私はこの配当性向を30~50%と見ており、60%を超えたら注意、70%を超えると投資には適さないと判断しています。
根拠としては60%を超えた時点で今後配当金を無理してでも出すようになり、企業自体の成長性が鈍化すると考えています。
権利確定月とは?
権利確定月とは株主や配当金を受け取るために必要な株主名簿に掲載される日。
具体的には、株主としての権利が確定する日であり、この日に保有している株数に基づいて優待や配当金の受け取りが行われます。
例えば、2024年8月なら権利確定日は8月30日(金)。
この場合権利付き最終日は8月28日(水)です。
この日以降に株を購入しても当該権利は得られません。
次は大和工業そのものに着目して解説していきます。
5444_大和工業の特徴
大和工業の特徴についてこの項では解説していきます。
冒頭でも少し紹介しましたが大和工業とはヤマトスチール株式会社や大和軌道製造株式会社などを傘下に置く日本の持株会社であり、そのグループの中核企業。
主要製品としては
- H形鋼
- 圧延形鋼
- 鋳鋼品
- 重工品
- その他の鉄鋼製品
こういったものを製造しています。
鉄鋼に関わる会社としては典型的なものを生産していると言えるでしょう。
特に起動用品事業は大和工業の祖業であり、半世紀以上にわたり積み重ねてきた技術と経験は国内外から高い評価と信頼を得ています。
ちなみに鉄道における分岐器や脱線・逸脱防止ガードのことです。
アメリカやアジア各国に使者を持つなどグローバル企業であるという側面もある大和工業。
配当利回り等は以下の通り。
配当権利確定月 | 3月と9月 |
1株当たりの配当金 | 400円 |
配当利回り | 4.2% |
入金される月 | 6月と12月 |
投資する利回りの基準 | 3.49% |
長くなりましたがより詳細な数値や項目を見ていきましょう。
営業利益率
まず取り上げるのは営業利益率。
大和工業の成績は以下の通り。
2011年に一気に下がったものの、そこから少しずつ持ち直し2020年代に入ってからコンスタントに5%を超えています。
この数値が大きく下がらない限り投資し続けるでしょう。
自己資本比率
次に重視しているのが自己資本比率。
自己資本比率はかなり高い水準で80%台を維持。
この数値も大きく崩れない限り投資し続けるはずです。
配当性向
最後に配当性向について。
2021年に配当性向が100%を超えた大和工業。
考察としては前年のパンデミックで思うように売り上げや利益を出すことができなかった企業が無理やりにでも利益を出そうとした結果100%を超える配当性向となったのではないかと考えられます。
その次の年だと配当性向は一気に25%まで下がっているので2021年度がおかしかったと考える方が建設的です。
若干配当性向が低いと感じるものの2022年の有価証券報告書では
【株主に対する配当については、業績に応じた利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%を目処に毎期の配当額を決定と発表。
一応今の水準で行くならばギリギリ投資適格銘柄であると考えています。
とはいえ、もう少し高くあってほしいと思うのも本心ではありますが。
大和工業のまとめ
- 営業利益率と自己資本比率はかなり良い。
- 配当性向のみ低いがそれでも及第点。
- 配当利回りや配当金はかなり高く魅力的。
こういった特徴がある銘柄です。
他の鉄鋼業界銘柄と比較しても財務のバランスが良い銘柄であると判断しました。
まとめ
今回は鉄鋼業界における高配当株として5444_大和工業を紹介しました。
今現在このセクターで投資しているのは1社のみ。
とはいえ、今後このセクターも投資する銘柄を拡張させていこうと思います。
新家工業や淀川製鋼所などがその候補に入ってくることでしょう。
最後になりますが投資は自己責任で。